あらすじ
私がもしも戦国時代にAIがあったら……?と思って創作した妄想になります。
史実にも基づきますが改変もあるので歴史SF作品としてお楽しみくださいませ!
以下あらすじ
永禄二年
西暦一五五九年。
織田家の下級武士・葛籠木与一郎は、尾張の山中で奇妙な黒い板を拾う。
鏡のようで鏡ではない。
文字を映し、言葉を理解し、問えば答える。
兵糧の計算。築城。火薬。農政。病。外交。
そして……戦。
信長はその怪しき器を「万知鏡」と名付け、与一郎を史上存在しなかった役職「御問答役」に据える。
だが、万知鏡は未来を予言する神ではなかった。
情報がなければ答えられない。
誤った情報を与えれば、誤る。
策を示すことはできても、それを選ぶことはできない。
だからこそ信長は気づく。
重要なのは、答えではない。
――何を問うかだ。
そして翌永禄三年。
駿河・遠江・三河に巨大な勢力を築いた今川義元が、二万を遥かに超えるともいわれる大軍を率いて尾張へ侵攻する。
後世に「桶狭間の戦い」と呼ばれる決戦。
圧倒的に不利な織田軍を前に、信長は万知鏡へ命じる。
「今川義元に勝つ方法を申せ」
しかし返ってきた答えは、信長の期待した「必勝の策」ではなかった。
しかも未来の知恵を持つ者は、織田だけではない。
武田信玄は「軍神の器」
上杉謙信は「毘沙門天の託宣」
相模の北条は「治国の鏡」
安芸の毛利は「千里文箱」
などなど。
そして京の奥深くには、歴史そのものを知る禁断の器「天機」が眠っていた。
やがて戦国の軍師たちは、未来の知恵の本質に気づいていく。
誰もが未来の知恵を持つことで、天下統一は早まるはずだった。
ところが――。
賢くなったのは、勝者だけではなかった。
敗者もまた、滅びにくくなった。
戦国時代は終わるどころか、かつてない「知能軍拡」の時代へ突入する。
知っているはずの歴史が、一つずつ違う結末へ向かってゆく。
その頃、葛籠木与一郎はまだ知らない。
なぜ、これほどの器が同じ時代に現れたのか。
誰がそれを置いたのか。
そして遥かな未来のどこかで───。
「戦国時代に高度な人工知能を与えた場合、天下統一は何年早まるのか」
そんな問いを立てた者たちがいたことを。