あらすじ

「使用人風情が」 ヴァルモン侯爵家の家宰補佐セラフィーヌ(三十九歳)は、二十一年ぶんの段取りを、その一言で値切られた。 怒鳴らない。泣かない。彼女は、雇われるという身分そのものを降りる。 「雇われるのは、やめます」 王都に前例のない〈請負〉を、彼女は自分で作った。 ――入るのは三日。直すのは一点。指図は受けない。奥の敷居は、またがない。 最初の請負は、明後日に婚礼を控えた子爵家。使用人が七人まとめて辞めた家である。 彼女は誰も雇い直さない。婚礼の段取りのほうを、三人ぶんに組み替える。 「この家で狂っておりますのは、〈婚礼の朝の順序〉でございます」 三日目の日暮れ、彼女は出ていく。門の外で、貧乏伯爵が待っている。 「……うちの、専属になってはいただけませんか?」 「請負でございます」 こうして王都の屋敷は、順番待ちになった。 卓の隅では、断り続けている一軒からの依頼書が、名義を変えながら積み上がっていく。

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小説を読もう2026/08/29
  • 現在の作品「使用人風情が」と仰いましたので、本日より、雇われるのはやめます ~独立したら、お客様が順番待ちになりました~