あらすじ
「聖女失格だ。君との婚約を破棄する」
黄昏の鐘が鳴り響く大聖堂の前庭で、王太子からそう告げられた瞬間――公爵令嬢シルヴィアは、心の中で盛大にガッツポーズを決めていた。
(やった。やっと、解放される……退職願、受理されました)
前世で過労死した企画職。異世界に転生してもなお、徹夜の結界維持、休日返上の魔物討伐、神殿長のパワハラと、変わらぬ地獄の激務に追われる日々。もう限界だった彼女の前に現れたのは、逢魔が時にしか会えない訳ありの旅人・ヴェスペル。
「働きすぎだよ、君。魂が焦げてる」
前世の過労死まで見透かす彼は、彼女にこう持ちかける。「君の聖力、僕に預けなよ」――枯れたことにすれば、もう誰も君を利用できない。
実は枯れてなどいない聖力を隠し、シルヴィアは晴れて“退職”を果たす。そして黄昏に囚われた魔王と、あてのない旅へ。
誰にも命じられない、急がない旅。元社畜令嬢が本当の自由と居場所を見つける、痛快&心温まる黄昏の逃避行ファンタジー。