あらすじ
家族の鍛冶場で、ヴラスタが仕上げた刃は二度、兄ズビグニェフの作品として売られた。腹は立つ。いい気味だとも思う。それでも欠けた刃を直さなければ、血を流すのは使う兵士だ。
そんな彼女のもとへ、消息を絶っていた騎士ミロスラフが未完の長剣を抱えて帰ってくる。彼は刃元の研ぎを見ただけでヴラスタの仕事だと言い当て、今も愛していると告げ、彼女の名を書いた工賃袋を差し出した。
研ぎ手と試振り役。二人でなければ完成しない長剣を前に、火花と剣先と昔の誤解が飛び交う。正しい名で代金を払い、彼女の判断を尊重し続ける男と、奪われた名を取り戻して自分の工房を選ぶ女が、失った理由を一つずつ言葉で解き直すお話。