あらすじ
同じ日に、世界の東と西で二人の男が生まれた。
一人は、戦争と貧困にあえぐ小国に生まれた少年。
家族を失い、十五歳で銃を手にした彼は、やがてゲリラ組織の指導者となる。
民衆の支持を集め、政府軍を打ち破り、数々の戦争を生き抜いた彼は、いつしか「西の勇者」と呼ばれるようになっていく。
もう一人は、平和な日本に生まれた、ごく普通の男。
会社員として働き、妻と家庭を持ち、子供を育てる。
世界征服の野望など、もちろんない。
ある日、何気なく購入した三十万円の株。
それが、彼の人生を大きく変える。
投資家となり、企業を買収し、巨大な資本を築き上げる。
エネルギー、金融、物流、通信、半導体――。
気がつけば彼の企業帝国は東側世界の経済を支配し、国家さえも彼の資本を無視できなくなっていた。
そして世界は、二人をこう呼ぶようになる。
「西の勇者」
「東の魔王」
だが、二人は神でも悪魔でもない。
特殊な力も、不老不死の肉体も持たない。
ただ、それぞれの時代を必死に生きた、普通の人間だった。
銃を手にした少年と、株を買った普通のおっさん。
一人は武力と民衆の力で。
一人は資本と経済の力で。
二人はやがて世界を二分する。
そして――
二人が老い、死を迎えたとき。
彼らが築いた世界秩序は、同時に崩れ始める。
勇者も、魔王も、後継者を残せなかった。
東も西も混沌へと落ちていく。
しかし、世界が終わったわけではなかった。
二人の時代が終わったその場所で――
まだ誰にも知られていない、新しい才能が芽吹き始めていた。
これは、普通のおっさんと少年ゲリラが、世界を二分するまでの物語。
そして、二人の死によって始まる――
次の時代の物語。