あらすじ
カドコミ漫画原作コンテスト【ナツガタリ'26】応募作品。
学校では、誰にも意識されない無口な高校生・音無開。
自分を変えようと初めて潜ったダンジョンで、彼は最弱のゴブリン一体に殺されかける。
普通なら、もう二度と戻らない。
だが開が考えたのは、「なぜ死にかけたのか」だった。
戦闘動画を見比べ、敵の癖をノートに記録し、自室で動きを試し、翌日また同じ魔物に挑む。
逃げすぎた一歩を減らし、遅れた剣を戻し、昨日できなかったことを一つずつできるようにしていく。
教室では返事さえ続かない少年が、ダンジョンの話になると別人のように喋り、考え、笑う。
勝てない相手に出会っても、開が持ち帰るのは敗北ではない。
次に試すための情報だ。
レベルとスキルが強さを左右する世界で、開にチートも特別な加護もない。
武器は、観察、記録、反復、そして負けた相手にも翌日また会いに行く執着だけ。
ゴブリンの癖を見抜き、コボルトから逃げながら一撃ずつ対応を覚え、やがて複数の敵を相手にする。
敵だけでなく、自分の足運び、体力、装備、地形、退路までも攻略対象へ変えていく。
そして探索者なら誰もが待ち望むレベルアップの機会さえ、開にとっては新しい検証材料となる。
強くなれるなら、すぐに強くなるべきなのか。
それとも、今の自分にまだできることがあるのか。
これは、勝つだけでは満足できず、「なぜ勝てたのか」まで確かめたがる攻略狂が、未知の敵と状況へ何度も挑みながら、戦いから無駄を削ぎ落としていく物語。
敗北する。観察する。生きて帰る。調べる。試す。攻略する。
そして、攻略した場所には留まらず、次の未知を求めてさらに深く潜っていく。
開が追い続ける問いは、ただ一つ。
「もっと下には、何がある?」
【本作の見どころ】
本作の主人公は、隠された最強能力や特別なスキルで勝つのではありません。
未知の敵と遭遇し、敗北や撤退から情報を持ち帰り、観察、練習、再挑戦を重ねることで、一つずつ無駄を削っていきます。
攻略対象も魔物の動きだけに留まりません。
自分の身体、装備、地形、敵の数、退路の選び方へと広がり、開が深く潜るほど、新しい問題と攻略法が生まれていきます。
学校では誰にも意識されない少年が、ダンジョンでは誰よりも生き生きと未知へ食らいつく。その落差と、昨日できなかったことが今日できるようになる過程を、戦闘の前後比較によって見せる現代ダンジョン漫画です。