あらすじ
格安で一軒家を手に入れた独身会社員の主人公。
広い、安い、庭まで付いている――そんな好条件の家には、当然ながら理由があった。
そこは、心霊現象が起こる事故物件だったのだ。
引っ越して三日目から、毎晩深夜二時になると家の中に響き渡る赤ちゃんの泣き声。
最初こそ恐怖に震えていた主人公だったが、連日の睡眠不足によって恐怖心は完全に消滅。
ついには見えない赤ちゃんに向かって「男なら床を蹴れ! 女なら静かにしろ!」と話しかけてしまう。
すると――。ドンッ!床から返事が返ってきた。
どうやら、この赤ちゃん。主人公の言葉を理解しているらしい。
それから始まった、奇妙な共同生活。
深夜にミルクを作り、夜泣きをあやし、寂しがれば同じ部屋で眠る。
嫁もいなければ子供もいないはずなのに、気がつけば主人公はすっかり幽霊赤ちゃんの父親代わりになっていた。
怖いはずなのに、どこか憎めない。うるさいはずなのに、いないと寂しい。
そんな生活にも慣れてきた、ある夜。いつもの深夜二時になっても――赤ちゃんが泣かなかった。
不安になった主人公は、静まり返った部屋で問いかける。
「……いるなら、床蹴ってくれ」
――ドンッ。返事はあった。ただし、音が聞こえてきたのは、いつもの場所ではなかった。
壁から。天井から。玄関から。
そして家中に響き始める、いくつもの赤ちゃんの泣き声。
「……お前、一人じゃなかったの?」
幽霊よりも生活費が怖い独身男と、ちょっぴり寂しがり屋な幽霊赤ちゃんたち。
事故物件から始まる、子育て(?)ホラーコメディ。