あらすじ
現代を生きる女性画家・布袋瞳は、不慮の事故により意識を失う。
目を覚ますと、そこは四百年前のイタリア。
そして彼女は、一匹の黒い子犬になっていた。
子犬を拾い上げたのは、美術史に名を残す天才にして異端の画家、カラヴァッジョ。
言葉を持たない犬の低い視座から、瞳は彼の圧倒的な光の誕生を目撃する。
娼婦の顔を聖母として描き、泥の中に慈悲を見出し、暗闇の中で自らの罪をカンヴァスに刻む男。
栄光と暴力、そして終わりのない逃亡。
次第に人間の記憶が薄れ、犬としての本能に飲み込まれていく中、彼女が最後に見つめた光とは。
美術史の余白に隠された、一人の画家と一匹の犬の、狂おしくも美しい十五年の物語。