あらすじ
冒険者パーティをクビになったその夜、緑髪の少女フローラル・パシスは、ひとりで冷めたスープを飲み干した。
攻撃魔法が使えない。魔獣を倒せない。癒しの音楽しか持っていない、最弱の魔法使い。そんな自分に、居場所なんてないと思っていた。
でも翌朝、思いがけない依頼が舞い込んだ。子どもを救うために、たった一人で魔王の森へ踏み込んだフローラルは、そこで運命の人と出会うことになる。
燃えるような赤い髪。静かな赤い瞳。百年間、誰も愛さなかったという、孤独な魔王——アルマンド。
「お前が、わたしのしもべになること。それだけだ」
右腕に刻まれた黒薔薇の紋章。仮の花嫁。仮の王妃。
最初はそのつもりだったのに。
彼の優しさに触れるたびに、胸の奥がきゅっと痛くなる。
わたし、いつのまに、こんなに好きになってしまったんだろう——。
音楽を武器に、人間と魔族の壁を越えて、フローラルは自分だけの居場所を作っていく。
これは、最弱と呼ばれた少女と、百年間眠っていた魔王の、甘くて、切なくて、少しだけ不思