あらすじ
八年続いた国境紛争を終わらせるため、隣国の王弟アナトールと政略婚約を結んだセレスティーヌ。
ところが婚約披露の翌朝、彼女は昨夜とは別の部屋で目を覚ます。内側から閂の掛かった本来の寝室では財務卿が死亡し、窓外の雪に足跡はない。そして部屋を動かしたと告白したのは、ほかでもない婚約者だった。
日暮れまでに真相を暴かなければ、ようやく結ばれた和平は崩れる。
機巧建築を愛する公女は、疑いをかけられた王弟の声を壁越しに聞きながら、星環宮に残された違和感を一つずつ拾い始める。
信じたいからこそ、考えることをやめない。
動いた寝室、夜明けの温風、向きの違う封印。すべての手掛かりがそろったとき、一つの密室が二人の婚約と二国の運命を反転させる。