あらすじ

老舗出版社と動画プラットフォーム事業が同居する企業、MIMEI。 その総務部で働く廣松維乃は、人当たりのよい微笑の裏で、申請書の矛盾、曖昧な命令、責任者のいない決定を正確に見抜いていた。上司は、かつて数々のヒット企画を生み出し、いまは総務課長となった織田圭。 部署名の英語化、社内賞、全業務の一覧化、匿名アンケート、フリーアドレス、失敗共有会。社長の思いつきが会社を揺らすたび、二人は記録と制度を使って、その後始末をしていく。 しかし、ひとつの成果が誰か一人の名前で語られる陰では、別の誰かの仕事が消えている。記録に残すことは救済なのか。本人の同意がなくても、正しい記録なら利用してよいのか。会社の歴史を一枚に収めるとき、誰がフレームの外へ押し出されるのか。 やがて織田が、会社を成長させた代表作『ゼロイチの夜』を「自分の最大の失敗」と語ったことで、封じられていた共同制作の記録が開かれる。 決めた人、作った人、直した人、記録した人。 会社という大きな主語の内側で、仕事はいったい誰のものなのか。 名前を残すことと、人を残すことの違いを描く連作企業小説。

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カクヨム
カクヨム2026/08/29
  • 現在の作品その仕事に名前はなくとも。ーーある総務部員の業務外日誌