あらすじ
異世界で皇帝となった少女、レオ。
彼女の傍らに仕えるのは、類まれなる知略と冷徹な決断力を持つ宰相、リキ。
戦争を嫌い、民を想うレオに代わり、リキは暗部組織「梟」を操り、調略、謀略、そして圧倒的な軍事力によって周辺諸国を次々と帝国へ併呑していく。
だが、その征服は決して華やかなものではなかった。
敵を欺き、王族を排除し、必要とあれば多くの命を奪う。
レオが理想を掲げる皇帝であり続けるために――リキは自らが汚名を引き受け、帝国の闇を一身に背負っていく。
やがて北方を制し、最後の大国ムバランダ連邦国すら降伏させた帝国。
国家は完成へ近づいていた。
そしてレオは、かつてリキへ想いを伝える。
「嫁になってやるよ」
しかしリキは、彼女の言葉を戯れとして受け流す。
すれ違う二人。
それでもリキには、決して忘れていない約束があった。
――君を、最高の高みへ。
最後の戦争を終え、帝国へ帰還したリキは、レオへ一つの金の腕輪を渡す。
それは、帝国の暗部すべてを統べる者の証。
「これを持つ者に、梟は従います」
そして――
リキは、最後の命令をゾルゲへ下す。
皇帝となったレオが、理想の皇帝として生きていくために。
自分自身を、帝国最後の「悪」として葬るために。
彼が残した一通の手紙。
そこに綴られていたのは、これまで決して口にしなかった言葉だった。
「愛している。」
これは、帝国を築いた皇帝の物語ではない。
一人の少女を最高の高みへ導くため、最後まで自らを悪として生きた――
一人の宰相の物語である。