あらすじ
『あっ♡ ああっ♡ あーんあああん♡ あっあっ♡ あんんっ♡ 気持ちいいよぉ♡』
なんなんだ、これは。
とある土曜日。画面の向こうで行われてる行為に目を奪われながら、俺こと初小岩実は驚愕していた。
「これ、路夏だよな……間違いなく……」
朝届いた一本のDVD。差出人は不明だったが、今人気の作品のパッケージだったのでとりあえずリビングの再生機器で見てみると、そこには俺の幼馴染にして彼女である、瀬谷路夏の姿があったのだ。
『へへっ、どうだ路夏? 俺のほうが、実のやつよりずっと気持ちいいだろ?』
いや、それだけじゃない。路夏を抱きながら熱烈な口付けを交わす男にも見覚えがある。
宇場津太郎。俺のもうひとりの幼馴染にして、親友であるはずの男が、画面の向こうで俺を蔑みつつ、裸で俺の恋人を抱きしめていた。
『あーっ♡ あ♡ あっっ♡ あー♡ 津太郎くんのほうが、実よりずっとすごいよ♡ あっあっあっ♡ ああーん♡ ああっ♡ ねぇ、だからもっとぉ♡』
激しい絶望感に襲われ、画面から目を離しうずくまる。
目からはとめどなく涙が溢れてくるが、動画は再生したままのため、耳には路夏の喘ぎ声と津太郎が腰を振ったことにより生まれたパンパンという音が断続的に飛び込んでくる。
しばらく泣き続けていると、ふと俺はあることに気付く。
パパパパ、パパパッパーン、パッツーン
「津太郎の腰振りの音……なんだかリズミカルじゃないな……不規則というか、違和感があるような……」
一度浮かんだ疑問はやがて、俺を真実へと導いた。
「もしやこれは……モールス信号か!?」