あらすじ
【『魔力ゼロの護衛役(ナイト)は、気弱な天才魔法少女(ひめさま)を独り占めしたい』公式スピンオフ!】
アルカディア大陸を未曾有の危機に陥れた『ノクティア事変』。
四人の少女と二人の英雄の死闘により、世界はついに救われた。
アストラリア王国最強の女騎士にして、聖一位聖国騎士団長エレオノーラ・ルミナス(28歳)は、その多大なる功績から伝説の英雄の名に連なる栄誉《《聖神星煌騎士》》(アーク・パラディオン)を賜る。
しかし、絶対零度の氷結晶剣「零姫(ダムゼロ)」を操り、人々から「氷薔薇の女王」と畏怖される彼女は、豪奢な自室でただ一人ため息をついていた。
「私には、過ぎたる称号だな……」
彼女は信じて疑わなかった。真に世界を救ったのは、共に死線を潜り抜けた兄弟子イグニスや、激闘の末にノクティアを消滅させた愛する妹フレアとルナたち若き世代の力であると。
母のような魔法の才能を持たず、ただ父に認められたくてがむしゃらに剣を振るった幼き日々。そして、団長就任直後に己の未熟さゆえ、愛するフレアにトラウマ級の傷を負わせてしまったという、今も彼女の心を縛り続ける冷たく深い後悔。
自分は最前線で満身創痍になりながら、彼女たちの盾となりサポートしたに過ぎないのだと、エレオノーラの自己評価はどん底だった。
だが、重すぎる称号を持て余し、過去の幻影に囚われる彼女の心を溶かしたのは、他でもない愛する者たちからの言葉だった。
「ディア……あの時、お前がいてくれたからこそ、今の私がある…」
最強の騎士が見せる冷徹な顔と、重度のシスコンゆえに妹たちの前でだけ見せる不器用で愛らしい素顔。
そして且つて愛し合ったディア…だけに見せる表情。
これは、己の弱さと罪に向き合い続けた一人の誇り高き騎士が、妹とその恋人の言葉によって己を赦し、真の意味で「氷薔薇の女王(レーヌ・ドゥ・グラシエール)」として咲き誇るまでの、ささやかで尊い追憶の物語。