あらすじ

結婚して十年。 伯爵夫人クラリッサは、夫アルフォンスを支えながら、自ら始めた石鹸や香油の商売も育ててきた。 そんなある日、親友の侯爵夫人から、夫が酒席でこう話していたと聞かされる。 「結婚して十年だぞ。釣った魚に、いつまでも餌を与える必要もないだろう」 冗談だと思いたかった。 けれど本人に確かめれば、夫は悪びれもせず、妻が夫を気遣うのは当然だと言う。さらに、クラリッサの商売が成功したのも自分の伯爵家の信用があったからだ、と。 ならば――もう十分だ。 「釣った魚には餌を与えないとおっしゃいましたね。でしたら、その魚は逃げることにいたします」 離婚し、自分の名前だけで商売を続けることを選んだクラリッサ。 しかし夫の後ろ盾を失った途端、本当に契約が次々と減り始めて――。 十年間積み重ねてきたものは、本当に夫の信用だったのか。 それとも――。

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カクヨム2026/08/28
  • 現在の作品釣った魚には餌を与えないとおっしゃいましたが、でしたら私は逃げることにいたします