あらすじ
娘が三つのことを言いに来た。
わたしは最後まで聞いた。三つとも聞いた。途中で口も挟まん。
聞いてから、こう言った。
「女同士のことだ」
三つとも、本当だった。
わたしがそれを知ったのは七月である。取り立ての二人が屋敷へ来て、三年前にわたしが署名した紙を机に置いたときだ。
その紙のことは、誰にも言っておらん。妻にも、娘にも。
秋に屋敷を渡した。領地も渡した。冬に街外れの小さな家へ移って、わたしは寝ついた。
娘は救貧院にいる。歩いて三十分の場所である。
わたしは一度も行っていない。
――あの子は、同じ日に三人へ同じ三つを伝えていたそうだ。
そして、それを紙に書いていたという。
何が書いてあるかは知らん。
※『三度申し上げました。誰も聞きませんでした』の父視点です。
どの作品からでもお読みいただけます。