あらすじ
ダンジョン探索中、ソロ探索者の結城朔は、地図には存在しない小部屋で一つの卵を見つける。
魔物の卵なのか、それとも未知のアイテムなのか。鑑定してみても結果は『測定不能』。どう考えても怪しく、関わらない方がいいはずだった。
ところが、朔がどうするか迷っている目の前で、卵にひびが入る。
「……割れた?」
殻の中から現れたのは、魔物ではなかった。
銀色の髪をした、小さな少女だった。
少女はしばらく朔の顔を見つめると、嬉しそうに両手を伸ばす。
「……ぱぱ?」
「違う」
「ぱぱ!」
「だから違うって」
なぜか完全に父親だと思われ、そのままとんでもなく懐かれてしまう。
しかも、この少女――ミアは、どうやら普通の子供ではない。
朔では苦戦するはずの魔物が、ミアを見るだけで逃げ出す。地図に存在しない通路を見つけ、誰にも開けられなかった扉を当たり前のように開いてしまう。
そして朔に危険が迫った時だけ、ダンジョンそのものが異常な反応を見せる。
さすがに何かがおかしい。
そう考えた朔がミアを探索者協会で詳しく調べてもらった結果、告げられた判定は想像を遥かに超えていた。
――推定危険度、国家消滅級。
「……嘘だろ?」
「ぱぱ、だっこ」
国家消滅級と言われても、朔の腕の中にいるのはどう見ても甘えん坊の小さな女の子だ。
ただ一つだけ、確かなことがある。
あの卵を拾った日から、朔の知っているダンジョンは、もう以前と同じ場所ではなくなっていた。