あらすじ

人手不足の病棟で、19歳の准看護師・山本幸恵は、数少ない正看護師である田所の判断を代行するように、日々の記録と向き合っていた。ある夜、患者・佐藤悦子の容体が急変する。判断を仰ぐべき医師は「適当に」とだけ言い残し、正看護師の田所もその場にはいない。幸恵は一人、モニターの数値と向き合う。  その夜の小さな書き換えは、後に悦子の死という、取り返しのつかない結果へと繋がっていく。  事故調査の場で、幸恵は「正当な記録」という名の理屈に守られながら、同時にそれに追い詰められていく。事務長は、優しい声でこう言う。「君も、正看護師の試験を受けるつもりなんだろう?」――それは脅しではなく、励ましの体裁をとった沈黙の強制だった。  高校時代の淡い記憶、普通の19歳としての生活への未練を抱えながら、幸恵はやがて、自らの意志で退職願を書く。そこに待っているのは、断罪でも赦しでもない、静かに続いていく日常だった。  記録には残らない後悔と、記録の外にしかない人間の真実を描く、ヒューマンドラマ。

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エブリスタ2026/08/28
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