あらすじ
魔王と淫魔の息子・レクスは、人生で二度も追放された。
一度目は、魔王が治める魔族の国からの追放。
理由は、淫魔の《魅了》スキルしか生まれ持たず、魔王のスキルが何ひとつ発現しなかったから。
二度目は、自分を拾って育ててくれた人間の師匠の家からの追放。
理由は、六年間居候した末、家事だけは完璧なヒモニートと化していたから。
「レクス、そろそろ家を出て働け!」
こうして強制的に社会へ放り出され、しぶしぶ王都へ向かったレクスは、道中で何者かに襲撃されていた美少女を救う。
その正体はなんと、人間の国の姫様だった。
ーー姫様ならお金をたくさん持っているはず。命の恩人なんだし、謝礼をちょっとくらい吊り上げても罰は当たらない。これでしばらく働かずに済む。
そんなセコい悪巧みから、レクスは姫様へ淫魔の《魅了》スキルをこっそり使う。
――だが、効かない。
レクスの経験上、《魅了》が通じなかった女性は、自分よりも強い奴だけ。
(バカな……こいつ、俺より強いのか!?)
しかも姫様は、レクスの予想を遥かに超える額の札束を積み上げ、彼の手を握って猛烈に迫ってくる。
「どうかわたくしの、専属ボディーガードになってくださいませ!」
《魅了》が効かない強者の脅迫にしか見えず、ビビり散らかしながら頷いてしまうレクス。
――なお、《魅了》が効かなかった理由はもっと単純。
姫様は、助けられた瞬間からレクスに一目惚れしていたのである。
こうして、姫様のボディーガードにされてしまったレクスは、王宮の女騎士やメイド部隊に囲まれながら、身分を隠して成り上がっていく。