あらすじ
陰陽師だった一族の長女として生まれた葛葉。豊富な呪力を持ち、将来を期待されたものの、なぜか十歳を超えても術を何一つ使うことが出来なかった。優秀な兄と妹。その間で、比較される日々。
陰陽師の適齢期を過ぎても使い物にならない葛葉は、両親から一族に返ってくる呪いを一手に引き受ける禍受けとなるよう命令される。恐ろしい呪いの数々。痛みや苦しみ、熱だけに留まらず、その容姿なども変化していった。
それでも術を使えない惨めさと、少しでも一族の役に立ちたいという思いから、葛葉は必死に我慢する。
しかしそんなある日、兄が大きな仕事に失敗し、恐ろしいほどの呪いを受けてしまう。皮膚は焼けただれ、溶け落ち、悪臭を放つ皮膚。目もほぼ見えなくなり、恐ろしい呪いの塊と化してしまった葛葉。
あまりの醜悪さと、呪いが溢れることを恐れた一族は、葛葉を封印し廃棄することを決定した。今まで自分は何のために生きて来たのか。陰陽師になれなくとも、その手伝いをすることで自負を持って生きて来たというのに。
そんな葛葉を兄たちは、すでに一族は陰陽師ではなく呪詛師として呪う側だったのだと告げ、絶望の淵に落とす。
自分がしてきたことは、悪の片棒を担ぐことだったとようやく理解した葛葉は全てに絶望し、消えゆく定めを受け入れた。
しかし死にゆくその時、強力な呪物を探していた氷のように冷徹だと言われる陰陽師の戒と出会う。蟲毒と化した葛葉を救う代わりに、自分のモノになれという。
葛葉は自分をこんな目に合わせた家族たちに復讐するために、その手を取るのだった――