あらすじ

「治すだけのくせに――――」 魔王を倒した直後、聖女アデーレは胸を刺された。刺したのは五年ともに歩いた仲間、女剣士レジーナ。笑い声を聞きながらアデーレは死んだ。 目を覚ますと、過去に戻っており、討伐の旅が始まった日の朝だった。 鏡に映るのは、自分を刺した女の顔。剣を握れば、握り方のほうを体が覚えている。 そして目の前では、聖女だったころの自分が、記憶のとおりに愛想よく笑っていた。 裏口も、弱点も、迷路の最短路も、ぜんぶ知っている。けれど今のアデーレは、誰にも好かれない前衛の体で立っている。命がけで斬った日にかぎって、街の者はこう言うのだ。 「聖女様のおかげです」 ――ならば、その場で書き直させる。 「斬ったのはこの腕です。名前を書き直していただきます」 守られる側から、守る側へ。取り返した手柄は、その日のうちに前で戦った者の手に渡る。 ただし彼女はまだ知らない。鏡の向こうで笑っているあの聖女の中身が、本当に〈過去の自分〉なのかどうかを。 ――前に出ます。今度は、わたしが。

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小説を読もう2026/08/28
  • 現在の作品「治すだけのくせに、なぜ私より褒められるの?」と刺し殺されたので、この女の体で前衛に出ます 〜手柄はぜんぶ、その場で取り返します〜