あらすじ

嫁いだ先の旧家で、私に渡されたのは分厚い革の冊子だった。 「当家に嫁いだ者が守るべき、百三十二の家訓だ」 日没後の東回廊は通行禁止。新妻は一年、実家に手紙を出してはならない。冬の夜は屋敷の外に出るな。妻は供なく門を出てはならない――。 だが、どの条文にも「なぜ」の一文がない。 「理由がわかれば、より気をつけられると思ったのですが」 そう尋ねた私に、夫のコンラートは一瞬だけ間を置いた。百年間、誰もそんなことを問わなかったという顔で。 調べれば、規則には必ず理由があった。 侍女を守るための規則が、時代が変わって別の侍女を傷つけている。 不要なら終わらせる。危険が残るなら形を変える。本当に必要なら、私から「残す」と署名する。 「理由を知りたい妻」と「理由を失うのが怖い夫」 百三十二の家訓を一つずつ確かめるうちに、命令する人と従う人だった私たちは、相談して決める夫婦へと変わっていく――。 ※短編で一旦完結します。残り百二十八条の話は、反響があれば書きたいと思っています。

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小説を読もう2026/08/28
  • 現在の作品嫁いだ者は百三十二の家訓に従え ――では、今も必要か一つずつ確かめましょう