あらすじ
私の妹、セシリア・アシュフォードは完璧な令嬢だ。
美しく、聡明で、礼儀正しい。
誰にでも優しく、社交界では「天使のような令嬢」と呼ばれている。
平凡な姉の私とは正反対だ。
そんなある日、幼い頃から決められていた婚約者が私に告げた。
「僕は、セシリアを愛している」
妹に婚約者を奪われても、私は妹を責めなかった。
「あなたが幸せなら、それでいいわ」
そう答えた私に、妹は完璧な笑顔を浮かべて言った。
「お姉様は、本当にお優しいのですね」
――けれど、その夜。
誰もいない部屋で、妹は私にだけ聞こえる声で呟いた。
「私は、お姉様のそういうところが嫌いです」
完璧な妹が、いったい何を考えているのか。
私はまだ、その笑顔の裏側を知らなかった。