あらすじ
目を覚ますと、そこは見知らぬ異世界だった。
魔物が存在し、冒険者たちが剣を振るう世界。
右も左も分からないまま放り出された俺――鳴瀬奏は、そこで一つの固有能力を手に入れる。
その名も――《歴史の吟遊詩人》。
歴史に名を刻んだ人物を、異世界へ召喚することができる能力。
半信半疑のまま、奏が最初に召喚したのは――。
天下無双の猛将、呂布奉先だった。
「俺を呼んだのは貴様か」
圧倒的な武力。
巨大な魔物を一撃で葬り去る、その姿を目の当たりにして。
奏は思った。
――もしかして、この能力……最強なんじゃないか?
だが、《歴史の吟遊詩人》にはまだ奏の知らない秘密があった。
召喚されるのは、ただの「歴史上の人物」ではない。
史実。
逸話。
後世に語り継がれた人物像。
それらすべてが一つの存在として、この世界に呼び出される。
そして召喚された英傑たちは、奏の都合のいい人形ではない。
それぞれが自らの信念と誇りを持ち、ときに奏へ意見し、ときに衝突しながらも、彼と共に異世界を歩いていく。
冒険者として経験を積み、様々な依頼をこなす中で、奏は次第にこの世界の異変へと巻き込まれていく。
突然変異を繰り返す魔物。
暗躍する謎の勢力。
そして、この世界には存在しないはずの「歴史」という概念。
なぜ自分は、この能力を持っているのか。
なぜ「歴史上の人物」を召喚できるのか。
そして――。
歴史に名を残した者たちは、何を奏へ伝えるのか。
過去を知る少年と、過去を生きた英傑たち。
これは、彼らが紡ぐ異世界英雄譚。
――そして《歴史の吟遊詩人》が、いつか「伝説」へと至る物語。