あらすじ
伯爵家次男夫人オーサの席は収穫祝いの食卓になくても、彼女の蜂蜜は三壺とも出席していた。しかも一壺は、もう半分。義母は三日後の九つ鐘に養蜂室を板で塞ぎ、十二の巣箱を義姉名義へ移すという。二度の販売にも失敗したオーサは、育種帳と正当に分けられた蜂群だけを連れて離れる準備を始める。一方、妻の仕事を黙って本家に差し出してきた夫ラディスラフは、三か月前から給金を返し、蜂に刺されながら世話を続け、別家しても夫婦でいたいと求愛していた。安い蝋燭が煤を落とし、オーサの蜜蝋灯だけが燃え続ける夜。閉鎖が予定どおり実行される朝、二人が家名ではなく、これから分け合う仕事と暮らしを選び直すお話。