あらすじ
「もう、恋なんてしない」
そう思っていた三十八歳の健は、ある雨の日、駅前の小さなカフェで十七年ぶりに初恋の女性・美咲と再会する。
若かったあの頃、二人は確かに愛し合っていた。
けれど、仕事や将来への不安、それぞれの事情を抱えた二人は、好きな気持ちを残したまま別々の道を歩くことになった。
それから十七年。
大人になった二人は、過去の傷や後悔を抱えながら再び出会う。
最初は、ただ懐かしいだけだった。
昔話をして、食事をして、少しずつ失われた時間を埋めていく。
けれど、会うたびに健の中で、忘れたはずの気持ちが蘇っていく。
――やっぱり、僕は君が好きだ。
一方の美咲もまた、健への想いを完全には消せずにいた。
しかし、大人になった二人だからこそ、恋には簡単に踏み出せない理由がある。
「また好きになって、またいなくなったら嫌だから」
過去の別れが、二人の心に大きな影を落としていた。
それでも二人は、今度こそ逃げないことを選ぶ。
若い頃にはできなかったこと。
言えなかった言葉。
守れなかった約束。
すべてを抱えたまま、二人はもう一度恋を始める。
遠回りをして、傷ついて、迷って――。
それでも最後にたどり着いたのは、ずっと心の奥に残っていた大切な人の隣だった。
これは、十七年の時を越えて再び結ばれる二人の、少し切なくて、温かな大人の恋物語。
「やっと君にたどり着いた」
今度こそ、もう離れない。