あらすじ
何の変哲もない持ち込みだと思っていた。その新人漫画家が「エルフ」だと知るまでは。
業界最大手の漫画雑誌に異動してきた敏腕編集・一条は、世界にわずかしか残っていないエルフ、ベルナと出会う。
プロ漫画家を目指して50年。編集部でも有名な万年新人だった彼女の漫画は、人間とは大きくズレた感性のせいで、どうにも面白くならない。
そんな中、前部署で担当していた新人漫画家のSNS投稿で、一条が大炎上。ほとんどの担当作家の引き継ぎが見送られ、彼のもとに残った新人はベルナただ一人となる。
ところがベルナは、炎上の原因となった没ネームへの一条の分析を聞き、目を輝かせた。
「一条さんとなら、夢を叶えられる気がします!」
人間を「頑張っている可愛い生き物」として見てきた、370歳のエルフ。
人間の人生には限りがあるからこそ、夢にも期限があると考える、35歳の編集者。
正反対の二人が、人間の心と向き合いながらプロデビューを目指す異種族お仕事バディストーリー。
※カドコミ漫画原作コンテスト【ナツガタリ'26】参加作品のため、脚本形式です。
~以下は登場人物詳細~
■登場人物
・ベルナ・リーフォルーン(370歳・エルフ・女性)
現代にわずかに残るエルフの一人で、現在は人間の漫画家のもとでアシスタントとして働いている。
明るくポジティブな性格で、ギャルのように元気がよく、妬みや怒りといった感情をあまり抱かない。
人間を心から好きではいるものの、その好意は「長命種が短命な人間を見守る」視点があり、人間が抱える焦り、嫉妬、怒り、「今しかない」という切実さを、本当の意味では理解していない。
ある日偶然読んだ、無名新人による読み切り漫画に感動する。
その衝撃から、自分も漫画を描き始める。目標は、その読み切りを超える作品を作り、プロの漫画家になること。
一条との漫画作りを通じて、今まで“可愛い”と眺めるだけだった人間を、自分と同じ、夢を追う者と見るようになっていく。
・一条 真志(いちじょう まこと/35歳・人間・男性)
若くしてミリオンセラーやアニメ化・映画化作品を多数手がけており、仕事は早く、愛想もよい有能な社会人。
目標は、日本一の漫画雑誌で編集長になること。
一方で見込みが薄いと判断した新人には、漫画家を諦めることまで勧める。
そのため、漫画家から冷たいと思われることも少なくない。
若手時代、担当した新人をうまく導けないまま長く漫画を描かせ続け、結局デビューさせられなかった経験から、「夢を応援し続けることが、必ずしも相手のためになるとは限らない」と考えるようになった。
人間の人生には限りがあるからこそ、才能や将来性を冷静に見極め、時には夢を諦めさせるのも編集者の責任だと思っている。
しかし、何年かかっても漫画を描くことを諦めないベルナと出会ったことで、その価値観が少しずつ揺らぎ、才能にとことん向き合える編集者になることを目指していく。
ちなみに仕事を優先しすぎて、妻とは別居中。