あらすじ
この街では、満月を見てはいけない。
満月を見た者は、『喰われる』から。
高校二年生の天音は、幼い頃からそう教えられて育った。
満月の夜には家から出ない。
カーテンを閉め、月を見ない。
それが、この街で生きるための当たり前だった。
ある満月の夜、天音の親友・奏が忘れ物を取りに学校へ戻ってしまう。
そして翌朝。
奏は何事もなかったように、いつもの席に座っていた。
けれど、先生は彼女の名前を呼ばない。
クラスメイトも、彼女を知らない。
――そして天音自身も、彼女の名前を思い出せなくなっていた。
これは、満月に『喰われた』少女と、
その存在を忘れられない少女の物語。