あらすじ
あらすじ
戦争が終わった日本。
しかし、町にはまだ戦争の傷跡が残っていた。
焼け跡となった市街地。
不足する食料。
住む場所を失った人々。
そして、身寄りを失った子どもたち。
人々は復興を願いながらも、明日への不安を抱えて暮らしていた。
そんな故郷へ、一人の少年が帰ってくる。
少年の名は――チッチョン。
幼い頃から中国へ渡り、嵩山少林寺で修行を続けてきた少年だった。
彼が身につけたのは、独自の形意拳――聖獣八行拳。
「虎の型」
「蛇の型」
「龍の型」
「豹の型」
「鶴の型」
「猫の型」
「蟷螂の型」
「鷹の型」
八つの型は、それぞれ異なる特徴を持っている。
そして最大の特徴は、相手との間合いによって型を変化させること。
遠距離、中距離、近距離。
相手の動き。
地形。
状況。
それらを瞬時に見極め、最も適した型を選択する。
チッチョンは、その拳法によって人々を守ることを決意する。
なぜなら、故郷では戦争が終わったにもかかわらず、別の恐怖が人々を苦しめていたからだ。
その黒幕こそ――暗黒寺神拳。
暗殺を生業とし、戦後の混乱に乗じて勢力を拡大する秘密結社。
町のならず者たちを利用し、商人や一般の人々から金や食料を奪わせる。
さらに、その影響力は一つの町にとどまらない。
政治、商業、裏社会。
さまざまな場所へと暗黒寺の魔の手は伸びていた。
チッチョンは、戦いの中で戦災孤児の少年・太郎や、診療所で人々を助ける少女・花子、町の復興に力を尽くす源さんたちと出会う。
彼らとの交流を通じて、チッチョンは少しずつ「守る」という意味を知っていく。
しかし、暗黒寺もまたチッチョンの存在を知る。
そしてチッチョンの前に現れる、謎の拳士――黒牙。
黒牙は、チッチョンと同じく卓越した武術の使い手だった。
だが、その拳には深い憎しみが宿っていた。
戦争によって人生を奪われ、暗黒寺に拾われた黒牙は、
「強い者だけが生き残る」
という思想を信じ込まされていた。
一方、チッチョンは師・玄海老師から教えられた言葉を胸に戦う。
「拳は、人を傷つけるためだけにあるのではない」
二人の拳がぶつかるたび、異なる「強さ」の意味が浮かび上がっていく。
そしてチッチョンは、聖獣八行拳の八つの型を極めるだけでは、本当の意味で拳法を完成させられないことを知る。
虎の力。
蛇の柔。
龍の変化。
豹の速さ。
鶴の精密さ。
猫の身軽さ。
蟷螂の機敏さ。
鷹の広い視野。
それらすべてを一つにするもの――。
それは、人の心だった。
やがて暗黒寺神拳は、復興へ向かう町を再び恐怖に陥れようと動き始める。
チッチョンは仲間たちとともに暗黒寺へ立ち向かう。
戦いの先に待っているのは、暗黒寺神拳の首領・暗黒寺玄道。
そして、宿敵・黒牙との最後の対決。
果たしてチッチョンは、暗黒寺の支配を打ち破ることができるのか。
そして黒牙は、憎しみから解放されることができるのか。
焼け野原だった町に、再び人々の笑顔が戻る日は来るのか。
これは――。
一人の少年が拳を通して「本当の強さ」を学び、戦後の日本に希望を取り戻していく、壮大な武術活劇である。
そして物語は、チッチョンの新たな旅へと続いていく。
「聖獣八行拳――それは、拳ではなく心で完成する。」