あらすじ
【毎日更新】
灰島透、二十四歳。戦闘力ランクF。武器の携行許可すら下りない、協会の記録係。
透にはダンジョンが「誰かの書いたシステム」として読める。罠も魔物も、そう書いてあるからそう動く、として。だが根拠を説明できない。だから五年、黙って書式を埋めてきた。
半年落ちないボスがいた。〈不倒〉。国内最強クランが110回挑んで、一度も倒せていない。
雨の日、幼馴染の団長が頭を下げた。
「頼む。来てくれ」
前線に立った透は、すぐに気づいた。全員が正しいと信じていた手順が、そのボスを半年間ずっと不死身にしていた。
「一匹残してくれ」
半年ぶんの血と汗が、その一言と、透の撃った一発で終わった。
――その一部始終が、全世界に配信されていた。
「……面倒なことになるな」
誰にも見られていなかった記録係が、仕様の穴だけで世界を抜いていく。