あらすじ
侯爵令嬢クラリッサには、十年近く付き合っている婚約者ヴィクトルがいる。幼い頃から親しく、いずれ結婚することにも疑問を抱いていなかった。
ただし、ヴィクトルには一つだけ大きな欠点があった。
とにかく女性に弱いのである。
綺麗な令嬢に微笑まれればホイホイ、相談を持ちかけられればホイホイ、誘われればまたホイホイ。そのたびに問題を起こしては謝り、「もう二度としない」と繰り返すヴィクトルを、クラリッサは何度も許してきた。
そして結婚を目前に控えたある夜会。
ようやく落ち着いたと思っていた婚約者が、またしても別の令嬢と親しげにしているところを目撃してしまう。
「あなた、まるでハエみたいね」
何度言っても分からない婚約者に、クラリッサはとうとう愛想を尽かしたのだった。