あらすじ
仕事を辞めた。
義母の世話をするためだった。
それ以来、私は「お仕事は何をされているんですか?」という質問が苦手になった。
そんな私の唯一の取り柄――なのかどうかも分からないものが、鼻毛だった。
マスク生活ですっかり手入れを忘れていた鼻毛は、いつの間にかジャングルのように伸びていた。
私は鼻毛を切ろうとした。
ところが、切れない。
抜けない。
そして、なぜか伸び続ける。
病院で検査を受けたことをきっかけに、私の鼻毛は世界を巻き込む奇妙な騒動の中心になっていく。
鼻毛エクステ。
鼻毛マスカラ。
鼻毛カール。
鼻毛コンテスト。
やがて政治家まで叫び始める。
「私は鼻毛を伸ばします!」
仕事のない私は、鼻毛だけを理由に、突然ちやほやされ始めた。
一体、何が起きているのだろう。
私はただ、鼻毛が長いだけなのに。
――これは、鼻毛が世界を変える、ちょっとおかしくて、ほんの少し切ない物語。