あらすじ
アパレル店員として働いていた柊茜は、ある日突然、見知らぬ異世界の路地裏に投げ出されていた。
目に映るのは、魔法が飛び交う日常と、無骨な防具ばかりが並ぶ武器至上主義の街。途方に暮れていたところを、経営難にあえぐ小さな洋品店を営むエルフのエルウィンに拾われる。
生地に触れるだけで、その由来や効能がわかる不思議な力、「鑑定眼」に目覚めた茜は、店の奥で三年も眠っていた「火鼠の皮衣」を、竜討伐に向かう冒険者への肌着として提案し、見事に売り上げてみせる。
前世で培った接客の腕と、鑑定眼、そしてこの世界に息づく数々の伝説の力。
茜はそれらを武器に、一人また一人とお客様の悩みに向き合っていく。透明化の指輪を選ぶ奥様、大空を翔けるための一揃いを求める冒険者、陸を歩きたいと願う人魚。
服は、ただ身を守るだけの布ではない。誰かの一歩を後押しする、確かな力になる。
新しく仲間になった獣人のヤン、そして正体不明の看板猫モモ。小さな洋品店は少しずつ、けれど確かに賑わいを取り戻していく。
けれどある日、この店の存在そのものを脅かす、大きな影が街に忍び寄ってきて――。
伝説と絆が紡がれる、異世界お仕事ファンタジー。