あらすじ
三重県四日市沖、伊勢湾に浮かぶ巨大人工島――朝明島。
そこには、大学、研究機関、企業、そして六万人もの人々が暮らす海上学術研究都市「TASC」が存在する。
三重航空宇宙総合大学に通う二年生、迫康太。
人付き合いが得意ではなく、幼馴染の平良和志以外にほとんど友人を持たない彼は、ある日、大学の課題で誰からも注目されていない未分類天体を選ぶ。
何の変哲もない観測データ。
そのはずだった。
康太は軌道計算の中に、わずかな違和感を見つける。
0.0031。
観測誤差として片付けられてもおかしくない、あまりにも小さな数字。
だが康太には、それがどうしても偶然には思えなかった。
数学に類いまれな才能を持ち、失踪した考古学者の父を探す和泉愛彩。
かつて日本の宇宙研究の最前線にいた准教授、斉藤康範。
そして、長い歴史の裏側に秘密を抱える宇宙研究機関「TIRISS」。
一つの小さな観測誤差を追い始めたことで、それまで無関係だったはずの出来事が、少しずつ繋がり始める。
なぜ、その天体は太陽系へやって来たのか。
愛彩の父は、失踪する直前に何を発見したのか。
そして人類が「宇宙」について知っていることは、本当にすべて正しいのか。
海上都市TASCから始まる、近未来SFミステリー。
これは、宇宙に残された「記憶」を巡る物語。