あらすじ
上野のアメ横でエクスカリバーがたたき売りされている。
金物屋に行けばエクスカリバーを削って作られた包丁やハサミが所狭しと並んでいるし、僕の家の箸置きも、もっと言えば箸もエクスカリバーを溶かして再び固めたものでできている。
昔上野に観光に来た勇者が自分の聖剣に増殖魔法をかけたまま置いていってしまったせいで、日本にはもうありえない量のエクスカリバーがあった。
そんなさなか、事情を知らなそうなおびえた眼をした少女がアメ横で買い物をする僕の前にやってくる。
麦わら帽子をかぶったその子の瞳は、なんだかエクスカリバーのあの色に似ていて... と、その時、少女が触れた軒先の木刀が、全く同じ形状と傷を有したまま二つに分裂した。
「わたし、増やしちゃう体質なんです...」 とりあえず、この子をエクスカリバーの母体があるところまで連れていけば何かわかるかも...
「あいみょんでも聞きながら向かおう」
「あいみょん?って、なんですか?」
「うーん...ずっと昔、人類がほぼ全員死んでいなくなっちゃう前の時代に歌を歌ってた人」
「そう、なんですか。いいですね」
「いいよな、旧文明のほうがエンタメは面白かった」
元々いた人類がほぼ死滅した世界。2人のあてどない旅は、果たしてどこへ向かうのか。
エクスカリバーに似た瞳の君とのロードムービー。