あらすじ
ぷかぷかと空の中に浮かんでいる白い風船みたいな、あるいは明るいときに空に浮かんで見える白い月みたいな小さな船が空のとっても高いところで風に流されている。子供の手から飛んでいってしまったみたいに、孤独で人ぼっちでただ澄んだ青色の空の中に浮かんでいる。
空の中ではなにもすることがなくてとっても暇だった。だからよくぼんやりと綺麗な青色の空を船の一番上にある見張り台のところまでのぼっていって、そこから顔を出して、ぼんやりと見張り台の椅子に座って見ていた。(お母さんからもらった大切な飛行士のゴーグルが凍ってしまうくらい寒かったから、長い時間、もう少しここにいたいって思っても、ずっとそこにいることはできなかったけど)
もちろん、ただずっとぼんやりとしているだけではなくて、どこかに船が見えないかなって思って空を見ていることもあったけど、もうほとんど船を見つけることは諦めてしまっていた。
時間があって暇だといろんなことを考えたり想像してしまうって聞いたことがあったけど、本当にそうだなって思った。毎日毎日暇だったからいいことも悪いこともいっぱいいっぱい考えたり想像したりしてしまった。
誰かに見つけてもらえる夢を見たこともあったし、空から真っ逆さまに落っこちる怖い夢を見たこともあった。
みんなから『天才』と呼ばれてあまり調子に乗っていると、いつか空の中に飲み込まれてしまうことになるよ。空は怖いところなんだ。だからちゃんと自分の実力をきちんと理解して無理をしてはいけないよ。どんなすごい実力のあるベテランの飛行士だって、空の中で絶対に安全なんてことはないんだからね。
そんな『君』の言葉を思い出した。