あらすじ
僕はいつから、自分の人生に期待しなくなったのだろう。
母を亡くした。
その日を境に、父は別人のように変わった。
そして、唯一の兄までも失った。
追い打ちをかけるように、中学時代にはクラスメイトによって、母が残してくれた大切な形見まで壊されてしまった。
大切なものを失い続けた少年の心には、いつしか何も残っていなかった。
そんなある夜。
すべてに疲れた少年は、誰にも告げずに一人で夜の街を歩いていた。
そこで出会ったのは、どこか掴みどころがなく、それでいて不思議な優しさを持った一人の女性。
彼女は、少年の抱えているものなど何も知らない。
それでも、彼女は少年を見捨てなかった。
「お前がどんなやつで、どんな人生だったのか全くわかんないけどな」
その言葉に、少年は初めて自分の心を見てくれる人がいることを知る。
そして彼女の何気ない言葉や仕草に、少年は亡き母の面影を感じる。
――もう一度だけ、人を信じてもいいのかもしれない。
それが、少年の止まっていた時間が動き出す瞬間だった。
やがて二人は、少しずつ互いの過去を知り、支え合いながら距離を縮めていく。
これは、人生に絶望した少年が、一人の女性との出会いをきっかけに、もう一度「生きること」と向き合っていく物語。