あらすじ
高瀬修司、52歳。
二十年近く働いた印刷会社のデザイン部門をリストラされ、40歳から介護士として人生をやり直した彼は、夜勤中、転倒しかけた高齢者を支えた直後に異世界へ召喚される。
王国が求めていたのは、魔物を打ち倒す剣聖や大魔導師。しかし、修司に与えられたのは、聞いたこともない外れ職《生活支援士》だった。
戦闘能力も魔力も低い役立たずと判断され、王都から北方のグランフェル辺境領へ送られた修司は、そこで二年間寝たきりとなっている老将ベルンハルトと出会う。
治癒魔法によって傷も骨も治っている。それでも老将は、自分の足で立つことができない。
修司だけが、その本当の理由に気づいた。
「この人は治らなかったんじゃない。治ったあと、誰も起こし方を知らなかったんです」
介護で培った身体観察と生活支援。デザイナー時代に身につけた情報整理と図解。長年続けてきた合気道。そして、異世界で与えられた《生活支援士》の力。
修司は寝たきりの老将を立たせ、傷病兵を救い、混乱した騎士団を整え、紙と印刷によって知識を広めていく。
これは、二つの仕事を中途半端にしただけだと思っていた52歳の男が、これまでの人生すべてを武器に、人を、家族を、領地を、やがて滅びかけた国そのものを立て直していく物語。