あらすじ
伯爵令嬢エステル・リュナールには、眠っている相手の悪夢を自分へ移す力がある。婚約者ギルベルトの悪夢を七年も引き受け続け、眠れなくなり、心も体も削られた末に返ってきたのは、「悪夢を食べるしか能がない化け物」という婚約破棄の言葉だった。
居場所を失った彼女へ差し向けられたのは、深刻な不眠と悪夢に苦しむ王弟レオンハルト。周囲は当然のようにエステルの力を使わせようとする。けれど彼は、彼女が代わりに苦しむと知った瞬間、眠れる機会を自ら捨てた。
「君を壊して眠るくらいなら、私は一生眠らない」
悪夢を奪わず、夜明けまで手を握る王弟殿下。役に立たなければ愛されないと信じてきた令嬢は、眠れない夜を共に過ごすうち、自分を差し出さなくてもそばにいてほしいと望まれていることを知っていく。
これは、自分が眠るために彼女を苦しめた男を捨て、自分が眠れなくても彼女を眠らせる男を選ぶ物語。