あらすじ

舞台は都会とも田舎ともいえない、桜並木と真っ直ぐ伸びる国道が有名な絢漣町。そこで生まれ、育った主人公————門叶 鏡は、夢も希望もない性格を拗らせた人間だった。それなのに、残酷な時は彼を絢漣町唯一の高校、絢漣星華舞清高校の一年生としての新たな門出を、周りに存在する全ての情景に祝福していた。  ————故に。天涯孤独、ボッチオタクに対する負荷としては十分すぎるほどで……。結局門叶 鏡は、その道半ばで諦め、帰路に着くために振り返った。その時のこと————  ふわっと香るバニラの匂いと共に、胸中へ鈍い衝撃が走る。  それは、この世に存在する何よりも美しい男の娘————冬萌冱雪だった。  以降。門叶 鏡はそんな彼を探し続けるが、見事なまでに見かけることはなかった。  そんなある日のこと。  宇都宮という教員の逆鱗を買い、お使いという名目で『イッパイモノアルヨ』というへんてこりんな名前の複合商業施設へと向かわされる。  そこで門叶 鏡は、男の娘を取り巻く様々な人物と出会い、会話をすることで、自分がこれからどうするべきかを————今まで考えても見なかったことで悩むようになる。  昔のいじめで負った怪我で陸上の夢を諦めた妹の門叶朝星ちゃんを経て問題の過去に向き合い。  過去も未来も捨て去ってとにかく今に取り組む宇都宮先生を経て今いる過程に取り組み。  古い習わしを守り、人生の辿り着く果てを限定した冬萌家を経て、未来の目的地を模索し。  それら、夢を目指す上で立ちはだかる時間の壁を、課題を、人間関係を通して吟味しながら。  長い道の中程にいる現役の男子高校生は決意する。 『俺がヒロインになる』  冬萌 冱雪を凌駕するほどに。門叶 鏡は、才色兼備のヒロインを目指す。  それは、門叶 鏡自身、無理難題の夢に思えて仕方がなかったが、夢とはそういうものでもあった。不可能に近いからこその夢。高校生が誰しも経験するであろう、挫折。  それを、短い高校生活を経て、同じく悩む人間と接触して、どう乗り越えるか。  時間の価値観の差に酔いながらも、誰かの為に、奮闘する。  結果。門叶 鏡は冬萌冱雪のヒロインになることが出来る。だが、その先に待っているのもまた、新たな壁と挫折だ。それらは繰り返され、今までも続いてきた。輪廻という無限の苦悩。  それがこのお話。  『俺がヒロインになる』

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カクヨム
カクヨム2026/08/27
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