あらすじ
幼い恋を妹分に譲り、婚約解除の書類も測量器具の所有証明も自分で整えた私は、父に勘当された。次の仕事は、嵐の岬に立つ灯台での六週間の臨時勤務。代わりの測量士を三人も断り、私を名指しした灯台長バーリントは、寝具や薬を用意し、勤務外の夕食にまで誘ってくる。
けれど私にとって親切とは、成果を受け取るまで人員を保つための経費だ。三年前、海図を奪われた翌朝に部屋の鍵まで取り上げられたのだから。
そんな中、古い海図の暗礁位置に誤りを見つけた私は、迫る嵐と遭難船を前に灯台を駆け上がる。消されていた名前を取り戻しても、線を引き終えれば私は不要になる――そう信じて去ろうとする私を、灯台長が仕事のない朝まで選ぼうとするお話。