あらすじ
腑抜けたツラを晒している皆様、おはようございます。今日は12月27日、私の心情は曇天、天気は快晴、気温21度湿度13%、転生の後処理にピッタリな吉日でございます。では早速『ラヴェたんの死に際占い』に参りましょう。
そんなクソの役にも立たない無価値な社内放送が、薄汚れた机の隅に追いやられたラジオから流れた。
禄に交換もされていないのだろう、壊れかけの蛍光灯に照らされた部屋の入口には、やけに達筆な字で『女神部』と書かれた札が掛けられている。
異世界ヴィナグレイス、その世界を創造した、口うるさい〈神族〉に代わって監察の遂行している部署が、通称『女神部』なる神界の恥晒しと馬鹿にされ、女神の臭いケツを拭うボロ雑巾と揶揄される、清浄を是とした誇り高き職務である。
仕事内容は簡単だ。現場に向かう女神の代行者が、ウザいと思った者を独断と偏見で罰するだけのこと。異世界ヴィナグレイスでは、転生や転移が頻繁に行われている。それは所謂、勇者召喚だったり、前世の記憶を保持した転生、稀に何の因果なのか、魔王や邪神に生まれ変わる者もいる。
それら全員が誠実な善人として生涯を終えるのなら、何も問題は無い。だが、人間が十人十色なように万人に優しい女神の如き人柄の聖人がいれば、欲望を満たそうと卑劣な犯罪を重ねる悪人も存在する。単なる一般人の犯行なら、専門の機関が確保送検、相応の判決を経て事態は済む。
しかし、異世界ヴィナグレイスに於いて、異世界から転生転移した者は、総じて絶対的な力を獲得している。これは世界と世界の境界を渡る前に、星に選ばれるから、だとされているが、そんな小難しい諸事情『女神部』には知ったことではない。別に強大な能力を得ようが、それを健全に行使し、誠実に生きている異世界人は『女神部』の管轄には入らないのだが――。
中には、その能力を乱用し身勝手な愚行に走る、畜生がいるわけである。彼ら彼女らは能力だけはご立派なので、下界の人々では対応が難しい。そこで、代行の機関として設置され派遣されているのが、女神の下僕であり監察の代行者でもある、後処理係の『女神部』だった。
今日も『女神部』の下僕達は、非道な勇者や悪逆な魔王連中を相手に、ケツを拭うボロ雑巾の名に恥じない暗躍をする。
これは輝かしい英雄譚の裏側で、世界の秩序を整える、面の皮の厚い下僕の物語――。