あらすじ

新人王になった日高光は、記者に聞かれた。 「日本では、どんな選手だったんですか?」 光は正直に答えた。 「球拾いです」 会見場は笑った。 けれど、冗談ではない。 日本で生まれ、日本で育ち、日本語しか話せない光には、人並み外れて強い肩と、投手や打球の癖を読む目があった。 それでも、中学では球拾い。 高校ではブルペン捕手。 大学では打撃投手。 球を拾い、受け、投げ続けても、公式記録には何も残らない。 「助かる」とは言われる。 でも、選ばれない。 それでも光は、見て、数えて、投げることをやめなかった。 誰にも見られていない場所で、何万球ではなく、一球ずつ。 やがて、日本では誰も見なかったその一球を、海の向こうで見ていた人が現れる。 これは、補欠だった男が突然天才になる話ではない。 ずっと持っていたものを、見る人が変わったことで初めて見つけてもらうだけの物語。 日本で一度も選ばれなかった球拾いが、海の向こうで新人王になるまでの野球小説。

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カクヨム
カクヨム2026/08/27
  • 現在の作品『球拾いです』