あらすじ
王太子フェリクから、六年間続いた婚約を終わりにすると告げられた公爵令嬢イルゼ。
理由は、子爵令嬢ミーナレスの方が「心も身体も柔らかい」から。
それなら仕方ありません。
婚約者として続けてきた仕事も、今日で全部おしまいです。
王太子妃候補としての公務も。
予定の確認も。
そして――五年間、誰にも知られず続けてきた王太子殿下の護衛も。
「それでは、本日をもちまして、王太子殿下の護衛任務を終了いたします」
そう告げた夜は、何事もなく終わった。
けれど翌日。
毒殺未遂。
狙撃。
侵入者。
今までイルゼが王太子へ届く前に潰していたものが、一斉に表へ出始める。
それでも、もう殿下を守るつもりはない。
ただし。
その余波で自分まで狙われるとなれば話は別だった。
暗殺者を捕まえ。
組織を辿り。
潰して。
使えるところは傘下へ入れる。
気づけばイルゼの前には、王都の裏社会そのものが並んでいた。
王太子殿下の護衛任務は、もう終わった。
これはただ――自分の縄張りを少し整えているだけのお話。