あらすじ
ライヘンバッハの滝に落ちた名探偵が目を覚ますと、空に月が二つ浮かんでいた。
壁抜けも変身も遠隔通話も日常の魔法世界レムノス。「不可能を消去せよ」を信条とする男にとって、これほど都合の悪い世界はない。何しろ、消去すべき不可能がほとんど残らない。
おまけに彼の魔力適性はゼロ。丸腰である。
だがホームズは方針を切り替えた。魔法は奇跡ではない、未整理の科学だ。観察し、分類し、「この術にはこれができない」という制約を帳面に書き溜めていく。制約がひとつ増えるごとに、消去できる不可能がひとつ増える。
折しも都では、大魔導士が七重の結界の内側で殺された。衛兵団は「史上最強の暗殺魔術」と騒ぐが——。
魔法を使えない男が、魔法の限界だけを武器に謎を解く。異世界転移×本格ミステリ。