あらすじ
大学生の陸は、ある朝、幼なじみの芽衣から「今日、会える?」という電話を受ける。
しかしその日の夜、芽衣から届いたメッセージには、陸にはまったく覚えのない言葉が書かれていた。
「昨日、電話で言ったじゃん。もう会わない方がいいって」
発着信履歴には、確かに自分から芽衣へ電話をかけた記録が残っている。
けれど陸は、その時間、自分の部屋で一人だった。
それ以来、身体が自分の意思より先に動く。知らない番号に電話をかける右手。自分が選んだはずのない言葉。目の前を歩いていく、自分自身の姿。
やがて陸は、自分が「自分」だと思っていたものそのものに疑問を抱き始める。
この世界は、本当に自分が生きている世界なのか。
そして、自分の目で見て、自分の手で触れて、自分の意思で選んでいると思っている「私」は、本当にここにいるのか。
最後のページを読み終えたとき、あなたは一度、自分の右手を見つめることになる。