あらすじ
世界各地に突如出現した、異世界文明の墓――奈落《アビス》。
その内部には魔物が跋扈し、人知を超えた力を秘める遺物《レリック》が眠っている。
奈落へ潜り、遺物を持ち帰る者たちは――探索者《ダイバー》と呼ばれた。
白峰透も、その一人。
ただし、その能力は限りなく最低に近く、探索者になって三年、どれだけ身体を鍛えても、剣を振っても、奈落について学んでも、求める力は手に入らなかった。それでも透には、探索者を辞められない理由があった。
唯一の家族である妹・栞。彼女の治療には、莫大な金が必要だった。
そんなある日、透は破格の報酬を条件に、高難度の奈落へ同行することになる。
しかし探索中、想定を遥かに超える魔物と遭遇。
逃げるための囮として選ばれたのは――パーティで最も弱い透だった。
仲間に見捨てられ、一人奈落を逃げ続ける。
三年間積み重ねてきた知識も、経験も、すべて使った。
それでも圧倒的な力の差を覆すことはできず、そして死の間際、透は願う。
「……まだ、死にたくねえよ」
その声に応えたのは、何千年もの時を奈落の奥底で眠り続けていた一人の少女。
彼女の正体は――神話級遺物《リヴ》。
透の異常なまでの生への執着に興味を持ったリヴは、その命を繋ぎ止める。
蘇った透が手に入れたのは、世界を数値として認識する力。
そしてそこで、彼は初めて自分が弱かった本当の理由を知る。