あらすじ
二十年前、資産家・白鷺達也一家四人が、自宅から忽然と姿を消した。争った形跡もなく、金品や衣服も残されたまま。警察は一家による計画的な失踪と断定し、若き刑事・神崎蓮司の捜査によって事件は解決した――はずだった。
二十年後、警察を退職した蓮司のもとに、一通の匿名の手紙が届く。
「白鷺家事件は、まだ終わっていない。二十年前、あなた自身が残した証拠を探せ」
指定された場所から見つかったのは、二十年前の蓮司が書いた謎の記録だった。そこには、当時の公式捜査とは正反対の推理が記されていた。
さらに調査を進めると、蓮司は過去の自分が現在の自分へ向け、複数の証拠と謎を意図的に残していたことを知る。
「お前なら、次にこの人物を疑う」
「その推理も予想している」
まるで二十年前の自分と現在の自分が、時を越えて推理対決をしているかのように。
やがて明らかになるのは、二十年前の蓮司が事件を「誤って解決した」のではなく、真相を知りながら意図的に別の結論へ導いていたという事実だった。
なぜ、若き蓮司は真実を隠したのか。
白鷺一家は本当に被害者なのか。
そして、二十年前の自分はなぜ、二十年後の自分に事件を解かせようとしているのか。
現在の蓮司は、過去の自分が残した証拠を一つずつ追いながら、二十年前の事件と自分自身の記憶に隠された真実へ近づいていく。
しかし最後に待っていたのは、「犯人」の正体ではなかった。
二十年前の自分が仕掛けた最大の謎――。
それは、現在の自分が真相にたどり着くこと自体を、計画の一部としていた理由だった。