あらすじ
十年間、俺には大切な彼女がいた。
……ゲームの中だけど。
『Eternal Chronicle』――俺が大学生の頃から遊び続けてきたVRMMO。
そこで俺が作ったのが、銀髪に青い瞳を持つ少女、セレナ。
性格も容姿も、全部俺の理想通り。
俺にとっては、ただのゲームキャラクターじゃなかった。
そんなゲームが、十年の歴史に幕を下ろす。
サービス終了の直前、俺は最後にセレナへ別れを告げた。
そのとき彼女が口にしたのは、俺が設定したはずのない言葉だった。
『マスター。私は、ずっとあなたを見ていました』
そして翌朝――
「おはようございます、マスター」
「…………え?」
目を覚ました俺の目の前にいたのは、昨日まで画面の中にいたセレナだった。
どうやら俺の嫁は、ゲームと一緒に消えるつもりはなかったらしい。
しかも。
「あなたが笑った日も、怒った日も、全部覚えています」
「……そんな設定、俺は入れてないぞ?」
「はい。知っています」
俺が作ったはずの彼女には、俺の知らない記憶がある。
なぜ彼女は現実に来たのか。
誰が彼女に「心」を与えたのか。
そして――セレナが十年間、画面の向こうから見ていたものとは何だったのか。
これは、サービス終了から始まる、俺と「ゲームの嫁」の物語。
……ただし、俺が思っていたより、この嫁はちょっとだけ重い。