あらすじ

養生のため、私は海辺の古びた温泉宿へやって来た。 心静かに夏を眺め、風情ある日々を綴る――はずだった。 虫を踏めばその命から人間の残酷さまで考え込み、釣りに出れば海水を舐め、考えすぎぬよう目を瞑って歩けば電柱にぶつかる。夜になれば夏の風神雷神を求めて林へ入り、気がつけばその両雄を手に月夜を歩いていた。 思考は勝手に巡り、身体は勝手に動き、夏はそんな私などお構いなしに過ぎてゆく。 蝉、漣、夕焼、蟲、朧月、花火。 美しいものも気味の悪いものも、くだらないことも鬱屈したことも、私はただ拾いながら旅をする。 これは、少し生きることに疲れた私が、夏に酔いながら養生する話。

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カクヨム
カクヨム2026/08/27
  • 現在の作品夏に酔う